廃食油が高価買取される背景|SAF需要と買取価格の仕組み

廃食油が高価買取される背景|SAF需要と買取価格の仕組み

「以前より廃食油の買取価格が上がった」と聞いても、なぜ高くなったのか、自社の油にも同じ相場が当てはまるのかは分かりにくいものです。業者から提示された単価だけを見ても、その価格が市場に連動しているのか、回収条件まで含めて妥当なのかは判断できません。

近年の価格上昇には、海外のバイオ燃料需要に加え、国内で始まったSAF製造、従来から廃食油を使ってきた飼料・工業用途との原料競争が関係しています。一方で、飲食店や食品工場から出る量は、需要に合わせて急に増やせるものではありません。

需要先は増えたのに、回収できる量は増えにくい。この需給の差が、廃食油の資源価値を押し上げています。

この記事では、廃食油が高価買取される背景を2026年時点の公的資料から読み解きます。再生油の市場価格と店舗・工場の買取単価の違い、価格に反映される回収条件、相場上昇を買取へつなげる回収業者の機能まで、発生事業者の立場で整理します。

この記事で分かること

廃食油の価格上昇は、SAFだけで起きたものではありません。国外向け燃料、国内SAF、飼料、工業原料が同じ資源を求める構造と、流通量が伸びにくい供給事情を分けて見ると、現在の相場を理解しやすくなります。

廃食油が高価買取される背景|SAF需要と買取価格の仕組み

廃食油が高く評価されるようになった主因は、燃料原料としての需要が国内外で増えたことです。ただし、従来用途がSAFへ単純に置き換わったのではなく、複数の用途が限られた原料を取り合う市場へ変わりました。

SAFとは、廃食油や非可食原料などから製造される持続可能な航空燃料のことです。航空分野の脱炭素化に向けて導入が進み、日本では2030年度に航空機の燃料使用量のうちSAFを10%とする目標が示されています。

さらに、資源エネルギー庁のエネルギー白書2025では、供給側にも2030年のSAF供給目標が設定され、国内製造設備への投資支援や税制措置が進められています。航空会社だけでなく、燃料供給側にも原料を確保する理由が生まれたわけです。

廃食油の需要先が増え価格が上がる需給構造

価格を押し上げた三つの変化

現在の相場は、一時的な話題だけで形成されたものではありません。輸出、国内生産、供給量という三つの変化が重なり、廃食油を確保したい需要が強くなっています。

1.国外向け燃料原料の比率が増えた:JWセンターの調査報告では、東南アジアでのバイオディーゼル利用拡大に伴い、燃料原料として国外へ向かう割合が増え、高値で取引されているという業界回答がまとめられています。国内だけで価格が決まる市場ではなくなりました。

2.国内でもSAF向けの原料調達が始まった:これまで国外需要の影響が大きかった燃料用途に、国内の製造設備が加わりました。国土交通省のSAF官民協議会でも、2026年1月に導入促進の基本方針が示され、原料から製造、供給までの体制整備が続いています。

3.供給量は需要ほど早く増えない:廃食油は製造工場で計画生産する新品原料ではなく、調理・製造の結果として発生します。JWセンターの調査では、食用油価格の上昇を受けて、ろ過装置などで揚げ油の使用回数を増やす事業者があり、流通量の減少も再生油価格を押し上げる要因として挙げられています。

この三つは、互いに独立していません。国外で高く売れる状況が続けば輸出が増え、国内SAF製造者は原料を確保しにくくなります。その一方で、飼料や工業原料のメーカーにとっても廃食油は従来から必要な原料です。新しい用途が増えても、既存用途の需要が消えるわけではありません。

主な用途 市場での位置づけ 価格への影響
飼料原料 国内で長く利用されてきた主要用途 安定した既存需要として下支えする
工業原料 インク、せっけんなどの原料に利用 燃料以外の販売先を形成する
国外向け燃料 バイオディーゼル需要を背景に輸出 国際価格や為替を通じて国内相場へ影響する
国内SAF・燃料 製造設備と制度整備が進む新しい需要 国内での原料確保競争を強める

公表される市場価格は、店舗や工場の買取単価ではない

相場記事で最も注意したいのが、流通段階の異なる価格を並べてしまうことです。精製・集約された再生油の価格と、排出事業者が回収時に受け取る買取単価は同じではありません。

環境省の令和7年度事業報告書の一事例では、2026年1月時点の市場価格として、飼料用油脂140円/kg台、燃料輸出向け150円/kg台という調査値が示されています。これは国内市場が高い水準にあることを示す材料ですが、飲食店や工場から回収する時点の全国共通単価ではありません。

回収現場の買取価格には、車両を動かす距離と時間、1回に積める量、回収頻度、容器の扱いやすさ、油に含まれる水分・異物、回収後の加熱・ろ過・精製などが反映されます。同じ地域でも、毎回まとまった量が出る工場と、少量を高頻度で回る店舗では条件が変わります。

再生油の市場価格から廃食油の実際の買取単価が決まるまでの要素

したがって、「市場価格が150円なら、自社の廃食油も1kg当たり150円で売れる」とは考えられません。市場上昇が買取の追い風になることと、上流の市場価格がそのまま支払額になることは別の話です。

高い相場を買取価格へ反映しやすい廃食油には理由がある

需要が強い局面でも、すべての廃食油が同じ条件で買い取られるわけではありません。再生原料として歩留まりよく扱え、回収効率を組みやすいほど、市場価値を買取条件へ反映しやすくなります。

酸価の値が低い:何度も使用された油ほど、状態が悪くなり、買取価格が下がる傾向にあります。いやな臭いがしたり色が黒くなる前に交換することは、調理の品質を維持するとともに、使用後の買取価格の向上にもつながります。

水分と異物が少ない:水、洗剤、食品残渣が多いほど、運搬する重量に対して得られる再生油が減り、分離・処理の負担も増えます。ふたを閉められる容器で保管し、天かすなどを大まかに除く運用は、衛生面だけでなく原料価値にも関係します。

1回の回収量が安定している:量が多いことだけでなく、どの程度の間隔で何リットル出るかを予測できることが重要です。回収車両のルートへ組み込みやすく、容器あふれによる臨時回収も減らせます。

回収後の販売先を複数持てる:油の状態に応じて飼料、工業、燃料などへ振り分けられる回収・再生事業者は、一つの用途の相場だけに依存せず、原料価値を判断できます。単に集めて転売するだけか、精製して用途別に販売できるかで、買取を支える事業構造は異なります。

関口油脂が相場に合わせた買取価格を提示できる仕組み

高価買取を継続するには、高い売却先を一時的に見つけるだけでは足りません。回収した廃食油を安定して処理し、状態に合う再生先へ販売できる設備と販路が必要です。

関口油脂は、回収した廃食油を自社リサイクルプラントで分析・分類し、真空タンクでの加熱、搾油、フィルタープレスや遠心分離による異物除去を行っています。回収から精製までを自社でつなぐことで、入荷した油をそのまま一つの販売先へ流すのではなく、ランクや用途に応じて再生原料へ加工できます。

販売先も燃料用途だけではありません。飼料原料、工業原料、航空燃料を含む燃料原料など、複数の用途へ展開しています。用途ごとの需要と相場を見ながら販売先を選べるため、その時点の市場を買取価格へ反映しやすいことが関口油脂の強みです。

ただし、相場が高い時期でも、油の状態、回収量、地域、頻度によって条件は変わります。高値を一律に保証するのではなく、現物と回収条件を見たうえで価格を提示します。

関口油脂へのお問い合わせ

見積書では単価だけでなく、価格が変わる条件を読む

廃食油の相場は、燃料需要、輸出価格、為替、食用油の使用量によって動きます。見積もりを比較するなら、その日の単価だけでなく、契約後にどのような条件で見直されるかを把握しておく方が、年間の受取額を読み違えません。

見積書・契約で見る欄 読み取る内容 曖昧な場合に起きること
単価の改定 固定期間、市況連動、見直しの通知方法 相場が動いても同じ単価が続く
数量の基準 L・kg・容器本数、計量場所 想定量と精算量が合わない
品質による調整 水分・異物・油種による減額や受入条件 回収後に初めて条件変更を知る
回収費用 運賃、臨時回収、容器費用の有無 表示単価が高くても差し引き後の受取額が下がる
精算 締日、支払日、明細に載る項目 社内で年間実績を追えない

比較するときは、直近3か月分を想定し、同じ排出量と回収回数で精算額を出すと違いが見えます。単価が数円高くても、臨時回収費や品質調整の条件が合わなければ、年間の受取額では逆転することがあります。

また、価格改定の根拠を説明できる業者かどうかも重要です。「相場が上がった・下がった」だけでなく、どの用途の需要や回収条件が自社の単価へ影響したのかを聞ければ、契約更新時の社内説明にも使えます。

廃食油の高価買取は、需要と再生する力の両方で決まる

近年の廃食油価格は、国外向け燃料需要、国内SAF製造、飼料・工業用途との競合によって押し上げられてきました。そこへ、揚げ油の長寿命化などによる流通量の伸び悩みが重なり、限られた原料を確保する動きが強まっています。

一方、公表される再生油の市場価格は、店舗や工場の買取単価そのものではありません。油の状態、1回の回収量、地域、頻度、回収後の処理コストを経て、実際の条件が決まります。

関口油脂では、自社プラントでの精製と複数用途への販売を通じて、相場に合わせた買取価格を提示しています。現在の取引条件が市場の変化を反映しているか知りたい場合は、油種、月間量、所在地、回収頻度をもとにご相談ください。

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\ この記事の著者 / 関口尚紀

[(株) 関口油脂 経営企画室 室長]

関口尚紀

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