食品工場のグリストラップ詰まり対策|改善事例をご紹介

食品工場のグリストラップ詰まり対策|改善事例をご紹介

グリストラップを清掃しても、しばらくすると流れが悪くなる。浮上した油脂が厚くなり、臭いや清掃費も減らない。食品工場や惣菜工場でこうした状態が続くとき、問題は清掃方法だけでなく、調理工程から排水へ入る油脂の量にあるかもしれません。

揚げ油に加え、加熱調理で出た牛脂やラード、パーム油などが洗浄工程へ流れると、温度が下がる過程で固まりやすくなります。グリストラップは排水中の油脂を受け止める設備ですが、回収できる量の油脂まで日常的に流し続ければ、現場の負担は残ります。

詰まりの再発を減らすには、グリストラップの中だけでなく、油脂が発生した直後の動線を見直すことが重要です。この記事では、関口油脂が実際に相談を受けた惣菜工場の事例を匿名化し、排水前の分離、保管、回収までを一つの運用として解説します。

 

食品工場のグリストラップ詰まり対策|廃食油を流す前に分ける運用

グリストラップの詰まり対策は、槽内の清掃と、油脂を流入させない工程管理を組み合わせて考えます。どちらか一方で済ませるのではなく、役割を分けることが出発点です。

グリストラップとは、厨房や食品製造の排水に含まれる油脂や食品残渣を、下水へ流す前に分離・収集する設備のことです。グリース阻集器とも呼ばれます。

八幡市の維持管理指針では、グリース阻集器は油脂を「分解・処理」する設備ではなく、流下を防ぎ、分離・収集する設備と整理されています。つまり、グリストラップがあるから油を流してよいのではありません。

東京都下水道局も、油を下水へ流さず、グリース阻集器を定期的に清掃するよう案内しています。設備を正常に使うには、流入量を抑えることと維持管理の両方が必要です。

食品工場で廃食油をグリストラップへ流す前に分ける工程

詰まりが続くときは、清掃記録より先に油脂の発生場所を見る

同じ場所で詰まりを繰り返すなら、清掃頻度を増やす前に、どの工程から何が排水へ入っているかをたどります。グリストラップに着いた時点では、植物油、動物性油脂、食品残渣、洗浄水が混ざり、原因を分けにくくなるためです。

惣菜工場では、フライヤーだけを見ても全体像はつかめません。肉を焼いた後の天板、加熱釜、ソースの製造設備、食材を移したバットにも油脂が残ります。洗浄前に回収できる油を受けず、そのままシンクへ送れば、グリストラップへ入る油脂量は増えます。

詰まりの位置:槽内だけでなく、流入管や排水管で油脂が冷えて固まっている場合があります。清掃直後でも流れが悪いときは、配管側の点検も必要です。

油脂の種類:ラードや牛脂、パーム油のように温度で固まりやすい油脂が多い工程は、液状のうちに流す運用ほど後から問題が見えます。

洗浄の順番:お湯で油を流せたように見えても、下流で温度が下がれば再び固まる可能性があります。油を落としてから洗う順番へ変える方が、原因に近い対策です。

ある惣菜工場で変えたのは、清掃頻度ではなく油脂の流れ

関口油脂が相談を受けたある惣菜工場では、調理油や牛脂がグリストラップへ入り、詰まりと処分負担につながっていました。そこで、油脂が固まる性質を利用し、排水へ入る前に分離する方法を提案しました。

変更前は、調理後に残った油脂が洗浄水と一緒に流れ、グリストラップ内で浮上・固化していました。変更後は、発生工程で油脂を専用容器へ受け、施設の衛生・安全ルールに合わせた専用区画で温度を下げ、回収対象として保管する流れにしました。

高温の油をそのまま密閉したり、食品を保管する冷蔵庫へ持ち込んだりする方法ではありません。耐熱性のある受け容器、冷却場所、移し替える温度、ふたを閉めるタイミングを工場側と決め、現場の安全手順として運用します。

その結果、グリストラップへ入る油脂量が減り、詰まりの発生と清掃・処分の負担を抑えられました。分けた油脂は廃棄物として処理するのではなく、状態を確認したうえで有価物として回収できる流れに変わっています。

惣菜工場で油脂を排水前に分けた場合のグリストラップ負担の変化

排水前の分離は、四つの場面を一続きに設計する

分離用の容器を置くだけでは、忙しい時間帯に元の運用へ戻ります。発生、受け取り、冷却・保管、引き渡しを一続きにして、誰が作業しても同じ流れになるようにします。

場面 現場で決めること 曖昧なままにした場合
発生 フライヤー、天板、釜、肉加工など、油脂が残る工程を特定する 目立つ揚げ油だけを分け、他工程の油脂が排水へ残る
受け取り 熱と油に適した容器、作業位置、やけどを防ぐ手順を決める 空き容器をその場で探し、こぼれや異物混入が起きる
冷却・保管 専用区画、移し替え温度、ふた、表示、満杯の基準を決める ドラム缶を開けたままにする、ラップだけで覆うなど衛生状態が崩れる
引き渡し 油種、量、回収頻度、搬出経路を回収業者と合わせる 容器があふれる、回収対象外のものが混ざる

容器は「油が入ればよい」ではなく、回収作業まで含めて選びます。ふたを閉められること、液漏れしにくいこと、満杯時に無理なく移動・積み込みできることが必要です。ラップを何重にも巻く方法は、開閉に手間がかかり、密閉状態も安定しません。

また、廃食油の容器へ洗剤、排水、包装資材、食品残渣を入れないルールも欠かせません。生脂や規格外の食肉製品が発生する場合は、同じ容器へ混ぜず、別の荷姿と回収条件で相談します。

回収業者の処理能力で、資源にできる油脂の範囲が変わる

食品工場では、植物油だけを扱える回収先より、動物性油脂や複数油種を処理できる回収先の方が工程を簡素化できる場合があります。何を再資源化できるかは、回収後の設備と用途によって異なります。

関口油脂は自社プラントで油脂を加熱・分離・精製するため、米油やパーム油などの植物油だけでなく、ラードや牛脂を含む食品由来の油脂も受け入れを相談できます。複数の油種が工程上で混在する現場でも、油種ごとに別業者へ分けず、一律の買取価格で扱えるかを現物と工程から検討します。

ただし、水分、洗剤、異物、包装資材が混ざったものまで同じ条件になるわけではありません。価格も高値を一律に約束するものではなく、油脂の状態、量、荷姿、回収条件、その時点の相場を見て提示します。

廃食油に加えて、生脂や規格外の食肉製品がまとまって発生する工場では、それぞれを別の回収区分として一緒に相談できます。廃棄物として処理しているものの中に買取対象が含まれていないか、工場全体の排出物から組み直せる点が、関口油脂の提案の特徴です。

関口油脂へのお問い合わせ

まず一週間、油脂の発生場所と容器量を記録する

設備工事から始める必要はありません。最初の一週間は、詰まりが起きた日ではなく、油脂が発生した場所と量を記録すると、分離できる対象が見えてきます。

記録するのは、工程名、油脂の種類、専用容器に受けられた量、排水へ残った理由の四つです。リットル単位で正確に量れない場合は、容器の何割までたまったかで構いません。繁忙時間だけ分離できない、固形脂が網に残る、容器が遠くて使われないといった情報の方が、改善策につながります。

一週間後は、分離した量だけを見るのではなく、グリストラップの浮上油、流れ、臭い、清掃時の回収量も以前と比較します。効果が弱い場合は、清掃回数をさらに増やす前に、見落としている発生工程や配管側の詰まりを調べます。

回収業者へ相談するときは、工程写真、油脂の種類、容器量、発生日数、現在の処分方法を伝えると、受け入れ可否と回収方法を検討しやすくなります。生脂や規格外品がある場合は、包装の有無や加工状態も分けて伝えます。

グリストラップ対策は、排水に入る前から始める

グリストラップの詰まりは、清掃不足だけで起きるとは限りません。工場内で回収できる油脂まで排水へ流れていれば、清掃しても負担は繰り返します。

発生場所で受け、安全に冷まし、ふたのできる容器で保管し、回収へつなげる。ここまでを工程として整えると、グリストラップへ入る油脂量を減らしながら、廃棄していた油脂を資源へ切り替えられる可能性があります。

関口油脂では、廃食油、動物性油脂、生脂など、食品工場で発生する複数の油脂を現場の工程から確認し、分別方法と回収条件を提案します。

>>関口油脂の廃食油の買取・加工処理・販売サービスを見る

>>グリストラップへ流れる油脂の分離・回収について相談する

\ この記事の著者 / 関口尚紀

[(株) 関口油脂 経営企画室 室長]

関口尚紀

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