【2025年最新】国内外のSAF市場規模と2030年の成長予測

【2025年最新】国内外のSAF市場規模と2030年の成長予測

世界的に「脱炭素化」が進む中、航空分野では持続可能な航空燃料(SAF:Sustainable Aviation Fuel)が急速に注目されています。

化石燃料に依存する従来の航空燃料を、廃食用油や動植物由来の原料など再生可能資源に置き換えることで、CO₂排出を大幅に削減できる点が強みです。

本記事では、最新の市場データを基に、SAFの国内外における市場規模と今後の成長予測を整理し、再資源化事業や燃料関連企業が押さえておくべき要点を分かりやすく解説します。

SAF:脱炭素化と燃料転換のカギ

SAF(サステナブル航空燃料)とは、植物油・廃食用油・藻類・廃プラスチックなどから生成される次世代型の航空燃料を指します。

従来のジェット燃料と比べて最大80%程度のCO₂排出削減が可能であり、国際航空運送協会(IATA)は2050年までにネットゼロを達成する上で最重要の要素と位置づけています。

SAFは既存の航空機やインフラにもそのまま利用できる「ドロップイン燃料」であることから、実現性の高い脱炭素手段として、欧米やアジア諸国で導入が急拡大しています。

特に欧州では、SAF混合比率を義務化する動きが進み、今後は世界的な市場拡大が確実視されています。

グローバル市場規模の現状と予測

世界のSAF市場は2024年時点で約15億ドル規模に達しており、2025年には20億ドルを突破すると予測されています。調査会社のMarketsandMarketsによると、2030年までに年平均成長率(CAGR)約45%という急成長が見込まれています。

欧州連合(EU)では「ReFuelEU Aviation」政策により、2030年までに航空燃料の6%をSAFへ置き換えることが義務化されました。アメリカでも「SAF Grand Challenge」によって、2030年までに年間30億ガロンの生産目標が設定されました。

これらの政策が市場を強く牽引しており、原料供給・製造技術・回収ネットワークを持つ企業には、グローバル連携のチャンスが拡大しています。

過去・現在のグローバル市場規模

2020年代前半までSAFの世界市場は限定的でしたが、2022年以降、欧米を中心に商業フライトへの実用化が本格化しました。

ノルウェーやアメリカでは既に定期便での使用が進み、各国航空会社が年間使用量を増加させています。これにより、2020年時点で数億ドル規模だった市場が、わずか数年で数倍に拡大しました。

2025年以降の予測と成長ドライバー

今後の市場拡大を支える要因は主に3つあります。

  1. 各国政府によるSAF利用義務化や補助金制度の拡充
  2. 製造コスト削減につながる技術革新(HEFA-SPKやPower-to-Liquidなど)
  3. 廃食用油など再資源化原料の供給網整備

特に日本やアジア地域では、食品工場・飲食店などからの廃食用油を原料とするSAF生産が注目されています。

日本国内市場の状況と見通し

日本政府は、2030年までに国内航空会社が使用する燃料の10%をSAFに置き換える目標を掲げています。国土交通省や経済産業省の主導で、JAL・ANAなど大手航空会社がSAF導入計画を策定中です。


また、2025年時点の国内SAF市場は約200億円規模に達すると見込まれ、2030年には700億円超への拡大が予想されています。原料面では、廃食用油を活用した国産SAF製造の取り組みが進行中で、ENEOS・出光興産・レボインターナショナルなどが生産体制を整えています。

ただし、国内生産量はまだ需要を大きく下回っており、今後は回収ルートの拡充や、廃食用油の安定供給が市場成長の鍵となります。

国内導入目標と需要見込み

日本では、政府が2030年までに航空燃料の10%をSAF化する方針を掲げています。JALやANAはすでに海外製SAFを一部導入しており、国産化が進めば需要はさらに拡大します。2030年には年間約50万キロリットル規模の需要が見込まれ、安定供給の体制整備が急務です。

国内供給・原料調達の課題

国内では生産拠点や原料確保が依然課題となっています。廃食用油の多くが海外へ輸出されており、国内回収ネットワークの整備が重要です。

今後は、飲食店や食品工場などからの回収ルートを拡充し、地域単位での再資源化モデルを確立することで、国産SAFの生産基盤強化が期待されます。

SAF市場拡大のポイント:原料・製造・事業機会

SAF市場拡大の鍵は、原料確保・製造技術・サプライチェーンの3点です。

現在主流の「HEFA製法」は廃食用油を主原料とするため、安定した油の回収網を持つ企業が優位になります。

製造技術では、カーボンリサイクルや合成燃料技術(PtL)も進展しており、将来的には多様な原料が利用可能になります。また、原料回収を行う事業者にとっては、単なるリサイクルにとどまらず、航空燃料原料という新しい付加価値ビジネスへ転換するチャンスです。

特に、廃食用油の無料回収や有価買取を行う企業は、SAF生産企業との提携を通じて、脱炭素社会に貢献しながら新たな収益モデルを築けます。

原料サプライチェーン

原料調達は地域循環型の仕組みが理想です。

飲食店などから回収した廃食用油を、国内精製所へ安定供給できれば、輸入依存を減らし国産SAFの自立につながります。地域企業の協力が市場成長の土台となります

製造技術とコスト構造

現状のSAFはコストが化石燃料の約3〜5倍ですが、技術革新と生産量の拡大により2030年には価格差が半減すると予測されています。製造工程の効率化と、回収原料の安定確保がコスト低減の鍵です。

事業機会と再資源化企業の役割

廃食用油の回収を行う企業は、SAF原料供給者として重要な立場にあります。環境価値の高いビジネスとして社会的評価も上昇しており、回収から燃料化までを一貫支援するモデルが今後の主流になるでしょう。

SAF市場の今後のリスク・留意点

SAF市場の成長には明るい展望がある一方で、いくつかのリスクも存在します。

  • 原料不足と価格変動リスク

→原料需要が急増する中で、廃食用油の確保競争が激化しています。

  • 政策依存度の高さ

→補助金や規制方針が変われば、投資環境も変動します。

  • 技術の進化が早い

→導入タイミングやパートナー選定を慎重に行う必要があります。

こうしたリスクを理解した上で、長期的視点での参入計画を立てることが重要です。

SAF市場で生き残る再資源化事業者の視点

SAF市場は今後10年で大きく成長し、廃食用油を扱う企業にとっても大きな転機を迎えます。「回収=燃料化=脱炭素貢献」という一連の流れを事業化できるかどうかが差別化の鍵です。

廃食用油の安定回収・品質管理・企業連携を強化することで、地域に根ざした持続可能なビジネスモデルを築くことができるでしょう。

\ この記事の著者 / 関口 純一

[株式会社関口油脂 代表]

関口 純一

Sekiguchi Junichi

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