廃油の活用術|給食センターの廃油管理・衛生・コスト削減の秘訣

廃油の活用術|給食センターの廃油管理・衛生・コスト削減の秘訣

給食センターでは、大量に発生する廃食用油の扱いが日々の大きな課題です。

適切な処理を怠ると、悪臭や衛生面での問題が生じるだけでなく、処理コストの増大や法的なリスクにつながる可能性があります。一方で、正しい管理を行うことでコスト削減や環境への貢献にもつながります。

本記事では、給食センターにおける廃食用油の管理の重要性やリスク、そして適切な対応のポイントを解説します。

全国の給食センター数

文部科学省の調査によると、完全給食を実施する学校は全国に29,600校(実施率95.6%)あります。給食センターそのものの正確な施設数は公表されていませんが、「共同調理場方式の施設の数」は全国に2,328箇所(2021年5月時点)あります。

環境保全茨城県民会議事務局」の統計では、学校給食に関わる廃油を含む廃棄物は生徒1人あたり約4.5kgと推計されています。つまり、相当な量の廃油が廃棄されていることがわかります。

廃食用油管理の重要性

給食センターで発生する廃食用油は、ただの廃棄物ではなく、適切に管理すれば資源として再利用できる存在です。

まず、「衛生面」では油の放置が悪臭や害虫の発生を招き、調理環境の悪化につながります。次に、「コスト面」では処理を工夫することで廃棄費用を抑えられ、無料回収や有価買取によるコスト削減が可能になります。

さらに、「環境面」ではリサイクルを通じて二酸化炭素排出削減に寄与し、持続可能な社会づくりに貢献します。

つまり、廃食用油管理は「安全な給食提供」「運営コスト削減」「環境配慮」の3つを同時に実現するために欠かせません。

給食センターにおける廃食用油の課題とリスク

給食センターで廃食用油を不適切に扱うと、衛生面や法規制への対応で大きな問題を招く恐れがあります。ここでは、代表的なリスクを具体的に整理します。

衛生管理上のリスク

廃食用油は使用後に劣化が進みやすく、適切に処理しなければ悪臭や害虫の温床となります。特に油分は微生物の繁殖を助長するため、調理場周辺の清潔環境を大きく損なう可能性があります。

また、排水口に流すなどの誤った処理を行うと、配管の詰まりや施設全体の衛生トラブルにも直結します。給食センターは児童や生徒に安全な食事を提供する責任を担っており、廃食用油の不適切な扱いは衛生リスクの拡大だけでなく、信頼低下にもつながります。

そのため、日常的な回収体制の確立と、速やかな廃食用油処理が欠かせません。

法規制と適切な対応

廃食用油の取り扱いには、いくつかの法規制が関わっています。

たとえば「食品リサイクル法」では、食品関連事業者に対しリサイクルや再利用の取り組みが求められています。また「廃棄物処理法」では廃油を不法投棄した場合に罰則の対象となる可能性があります。

給食センターも例外ではなく、適切な処理を怠ると行政指導や社会的信用の失墜を招きます。反対に、ルールを守って処理を行えば、リサイクル資源として社会に還元でき、地域の環境負荷低減に貢献できます。

したがって、信頼できる廃食用油回収業者との連携や管理体制の整備が、法規制対応と事業運営の両面で重要となります。

廃食用油の活用方法

廃食用油はそのまま捨てるのではなく、加工を経ることで燃料・飼料・肥料・産業資材といった多彩な形に生まれ変わります。これらの活用方法は、環境負荷を抑えるだけでなく、資源循環の仕組みを強化する役割を担っています。

航空燃料(SAF)としての活用

廃食用油は、精製や水素化処理などを経て持続可能な航空燃料(SAF: Sustainable Aviation Fuel)として再利用できます。

SAFは従来のジェット燃料と比べてライフサイクル全体でCO₂排出量を最大約80%削減できるとされ、国際的な温室効果ガス削減の切り札と位置づけられています。

航空業界は他分野に比べて電化が難しいため、液体燃料の持続可能な代替手段としてSAFの導入が急速に進んでいます。

日本でも国土交通省が2030年までに年間約300万キロリットルの供給を目標に掲げており、給食センターから排出される廃食用油を活用することで、地域単位でのカーボンニュートラル実現に貢献できる可能性があります。

飼料・肥料としての利用

廃食用油は再生処理を行うことで、家畜用の飼料や肥料へと姿を変えます。油に含まれる脂質は動物の栄養源として有効であり、家畜飼料に配合することで資源の無駄をなくせます。

また、油分を含む有機肥料は、農地に栄養を還元し、土壌の改善や作物の生育に役立ちます。このような利用方法は、食品リサイクル法で求められる食品残さの再資源化率向上にも直結しており、給食センターが環境配慮型の事業運営を行う上で重要な役割を果たします。

資源循環の一端を担うことで、持続可能な社会の実現に貢献できます。

産業資材への転換

廃食用油は、燃料や飼料に限らず、石鹸・インク・プラスチックなどの産業資材としても活用されています。特に石鹸は昔から代表的な再利用例であり、現在では工業用インクや生分解性プラスチックの原料としての利用が広がっています。

このように、廃食用油は多様な製品に姿を変え、資源の有効利用を実現します。

廃食用油の主な活用先と特徴

活用先具体例特徴・効果
燃料SAF・BDF(バイオマス燃料)などCO₂削減、化石燃料代替
肥料・飼料家畜飼料・有機肥料栄養価活用、土壌改善、資源循環
産業資源石鹸・インク・プラスチック生活用品や工業製品への展開

廃食用油回収を活用したコスト削減のポイント

廃食用油の処理は単なる廃棄ではなく、回収サービスを活用することでコスト削減や付加価値創出につながります。給食センターにおいても、効果的な回収方法を取り入れることが経営改善のポイントとなります。

無料回収・有価買取サービスの活用

多くの廃食用油回収業者は、無料回収または有価買取の仕組みを提供しています。

無料回収の場合、処分費用がかからないため、廃棄コストを確実に削減できます。有価買取では、一定の条件を満たした油を資源として買い取ってもらえるため、コスト削減に加えて収益化の可能性も生まれます。

給食センターが日々発生させる油の量は安定しているため、こうしたサービスの活用によって、長期的に経済的メリットを享受できます。さらに、油が燃料や資材として再利用されることで、社会全体への環境貢献という副次的な効果も得られます。

廃食用油回収で得られる副次的メリット

廃食用油回収を活用することで、単なるコスト削減だけでなく、CSRや環境配慮の姿勢を社会に示せます。給食センターが環境対策を積極的に行う姿勢は、自治体や保護者からの評価向上につながります。

加えて、環境配慮型の運営は今後ますます重視されるため、持続的な信頼獲得に直結します。

給食センターにおける廃食用油活用の最適解

給食センターで発生する廃食用油は、適切に管理すれば衛生面の安全確保・コスト削減・環境保全を同時に実現できる重要な資源です。

悪臭や害虫の発生を防ぐとともに、無料回収や有価買取サービスを活用すれば処理コストを抑えられます。さらに、バイオ燃料や肥料などに再利用されることで、循環型社会の推進に貢献できます。

こうした多面的な利点を活かすには、信頼できる回収業者との連携が不可欠です。

\ この記事の著者 / 関口 純一

[株式会社関口油脂 代表]

関口 純一

Sekiguchi Junichi

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